遙か夢弐

□互い、気づかず
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「……いつもすみません。
 重くないですか?」




「いや。余計な心配はせず、足を治すことを考えろ」


「……ありがとうございます」



熊野路をみんなから一足遅れて歩くリズ先生の背中に背負ってもらいながら、私は一つため息をついた。












ありそうであってほしくて、でも絶対にありえないことが起こってしまった。



気づけば私はトリップしてて、望美ちゃんに助けられたところで目を覚ました。



あまりのことに呆然とする私に、彼女は凛とした顔をして「大丈夫だよ」と言った。


……その反応に、非現実的なことながら「ああ、彼女は何度か運命をやり直してて私のことも知ってるんだ」なんて思った。


不安だろうからって理由で出来る限り一緒に行動してくれようとする望美ちゃんたちに感謝しつつ、私は自分が足手まといなのもわかっていた。


だから頑張ってたのに……。




崖から落ちかけて足をひねるだなんて。






「……どんくさいなぁ、私……」



リズ先生だって、望美ちゃんの隣にいたいはずなのに私なんかの世話をさせられて。



「はぁ……」



「……お前は」


「え?」


「お前はよく頑張っている」


「リズ先生……」


「知らないことは学べばいい。体力が足りないなら鍛えればいい。……焦ることはない。お前はよく頑張っている」


低い声で言い聞かせるように言われた言葉がじわりと胸に沁みる。


「……っ」


「……」


「ありがとう、ございます……っ」


あなたの一言が私の心を救ってくれた。

不安で不安で仕方がなくて。

いつ必要ないから置いていこうと言われるかドキドキしてて。





「……」



ああ、この人は……とても優しい人だ、と思った。




この優しい人の恋が、想いが、実ればいいと思った。



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