遙か夢弐

□銀色の獣と白龍の神子
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「えっと……白龍の神子様ですよね」

「うん。でも望美って名前で呼んでほしいな」






にっこりと笑った顔は、とてもきれいで可愛らしかった。




うわー、かわいい!



まさに天女さまって感じ? 





私と同じ世界で生まれた人とは思えない!!







「これ、プリン?」




わーわーわー! こんなもの久し振りに食べるよ!!





ありがとうございます神様、私のところに天女さまを舞い降ろしてくれてっ!





思わずプリンを崇めているとちゃんはにこにこ笑ってそれを目の前で右に左にと揺らした。



「……」



「か、かわいー! 食べたい?」



「た、食べたい、です……っ!」



なんか遊ばれてる? でもそんなのどうでもいい! 




私はそのプリンが食べたいんだー!




「じゃあ。知盛のバカヤローって叫んでみて?」



「了解! とも……っ!」



いい笑顔で黒いこと言うね神子様!





なんて思いながらためらいもなく叫ぼうとした私の口を後ろから塞いで抱きしめた腕に私は目を白黒させた。




や、やばい、かもしれない……っ!




「誰が……なんだって……?」




ぎゃあ! 耳元で囁いた上に笑わないでください!




私の心臓もろいんだから!





「おい…神子殿……俺のもので…勝手に遊ぶのは止めてもらおうか……」

「…なんで出てくるのよ。女同士で楽しく会話してたのに。ねぇ?」

「…お前もお前だ……仕置きが、必要のようだな?」

「むぐぐ!?」

仕置きってなんですか! 私まだ何もしてないのに!!





「……くっ。神子殿と、何やら楽しげだったじゃないか……お前は俺のものだという自覚が足りないようだな……?」






眉間にしわよってる!




なんでなんでなんでー!?




ちゃんと言いつけ守って男の人と喋るのは控えてたのに!





重衡や将臣はともかく敦盛とは涙を飲んで御簾越しにしか会話してないのに!




理不尽だー!!






抗議の声をあげたいのに口を押えつけられてそれも敵わず。





むぐむぐ言ってるとやっと知盛が口から手を離してくれた。




「と……んむっ!?」





さっそく抗議しようとした私の口に、知盛が貪りついた。





「んーっ!!?」




どんどんその胸を叩いても離れることはなく。




なんで舌入れてくんの!?




てゆか望美ちゃんが見てるのにー!












「と、知盛のばかーーーー!!」




やっと解放されたと同時にそう叫んで私は駆け出した。


















「……」



「ふふ。馬鹿だって」



「……ずいぶん、楽しそうだな…神子殿…?」




「ええそりゃもう。女の子に振り回されてる知盛なんてめったに見られないもの」



「……ふん」



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