遙か夢弐

□すきなひと
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私がなりたいと思った存在。




みんなを救える、助けられる、みんなに必要とされる存在。






……あの人は、私の焦がれるものを目の前でさらっていくんだ。














景時さんがお姉ちゃんと譲くんを連れて戦から戻ってきたとき、純粋に喜んだ。


無事だったんだね、よかった。


抱き着いて泣き始めたお姉ちゃんの久し振りに安心感を覚えた私は、続いた弁慶さんの言葉に凍りついた。



「君のお姉さんだったんですね。白龍の神子は」



……神子?


そういえば渡り廊下で出会った男の子は「私の神子」と言っていた。



あれはお姉ちゃんのこと?



ずっと長い間お姉ちゃんに片思いしてる譲くんは天の白虎……神子を守る八葉の一人で。
ああ……私だけなんの役目もなくお姉ちゃんのおまけのようにこの世界に来てしまったんだ。



唯一の救いは将臣くんがお姉ちゃんと一緒にいなかったこと。



心配だけど……ずっと仲良くされるのを見続けるよりはマシ、だと思ってたのに。




「オレも地の白虎なんだってさ〜、びっくりだよね」



少し照れたように、誇らしそうにそう言った景時さんに目の前が真っ暗になった。








ああ、やっぱり……私はどうあってもお姉ちゃんには敵わないんだ。



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