遙か夢弐

□頑張ります!
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「お洗濯、します!」

お掃除は失敗したけど洗濯なら出来るもの!
そう宣言した私に景時さんが真っ青になった。













「あああああああのね〜、洗濯は俺の楽しみだからわざわざ名無しさんちゃんがしなくても……っ」




「大丈夫! お手伝いする!」




「……え〜」




「あそこの山を洗濯すればいいんだよね?」





「ちょちょちょ、待って〜〜〜!!」






勢い込んで走り出していく私を引き留めようとする景時さんの手をすり抜けて、私は袖をまくった。


「よぅし!」


頑張るぞ!












「あああああああ〜……」



「……景時、諦めなさい」



うなだれる俺の肩をリズ先生が慰めるように叩いた。



「リ、リズ先生……」



「あれは言いだしたら聞かない」



「リズ先生の言うこともですかっ?」



一縷の期待を込めて尋ねると、リズ先生は難しい顔をして瞑目した。



「……私の言葉は、もはや届かない」



「そんな〜!!」





希望をなくしてさらにがっくりとうなだれる俺の耳にぱたぱたという足音が聞こえた。




「あ、あの景時さん……」



視線をあげると泣きそうな顔をした名無しさんちゃん。



「……どうしたのかな?」



ドキドキしながらそう尋ねると、名無しさんちゃんはとても申し訳なさそうに洗濯物の山を指さした。




「あの、ね。洗ってたんだけど……なんでか、もっと汚れちゃって……」




ごめんなさい、と泣きそうな顔で謝られて俺は力なく笑った。




「はは……大丈夫だよ〜……」




なんで普通の洗濯物をあそこまで真っ黒に出来るのかがわからないけどね〜……。







リズ先生が俺の肩をぽんぽんと叩いた。


「それもまた、運命だ」

「はは、は…俺泣いちゃいそう…」
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