遙か夢弐

□気持ちの行方
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「……」



「ん! これもおいしいです、景時さん」



「ほんと? よかったね」



「はい! 一口いりますか?」



「もらっていいの?」



「はい。どうぞ」



 一口だけスプーンにすくって差し出すと、景時さんは頬を赤く染めて、でも私が引かないことを悟るとおとなしく口を開けてくれた。


 よし! あーん、成功!


 一人満足しながら「おいしいですか?」と尋ねると「おいしいよ」と返してくれる。それにうなづきながら私はもう一口食べる。もちろん、そのスプーンで。


 よぉし! 間接キスも成功!



 ……ってなんだか変態みたいだなぁ。でもなんだか幸せだからいっか!





 一人うきうきしながらかき氷を食べていると、うろんな目をした九郎さんと目があった。


「……名無しさんは」



「え? どうかした、九郎さん?」



「兄離れのできん妹のようだな」



「えー……」



 今のこのやりとりを見てそう言える九郎さんがすごいと思う。


 そう言おうとした瞬間、私の隣で景時さんが声をあげた。



「たしかにね〜。妹が一人増えたみたいだよ」



「っ」



 思わずスプーンを取り落しそうになった。




 眼中にないと声高に言われた気分だった。



 わかってたはずなのに……どうしてこんなにショックなんだろうか。

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