乙女ゲーム夢2
□愛しき独占欲
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「おい、珍しいな。こんな場所にいるなんて」
「リシャールさん」
レミィさんが終わるのをラウンジで待っていると声をかけられて、私は席を立ちあがった。
「お久しぶりです」
「ああ。よくレミィがここに来ることを許したな」
「ラウンジに直行してここで待っていることを約束したんです」
眠る直前に言い聞かせるように何度も囁かれた言葉は起きてからも頭にちゃんと残っていた。
「そうか。なるほど……美しくなったな」
「え!?」
リシャールさんがつかつかと近寄ってきて私のあごをぐっと掴んだ。
いっそ怜悧ほどに整った顔が吐息がわかるほどに近づいてくる。
「レミィによほど大切に愛されているらしいな」
「え、と……」
かぁっと条件反射で頬が赤く染まる。
戸惑っていると後ろから肩を引き寄せられた。
「――リシャール様」
「く、番犬が来たか」
「あっ」
―――レミィさん!
私を腕の中に抱き寄せ、レミィさんは少しきつい目をリシャールさんに向けた。
「彼女に、何か?」
「そう怒るな。美しくなったと言っていただけだ」
リシャールさんの返答にレミィさんの腕がぴくりと跳ねた。
「申し訳ございません、リシャール様。失礼します」
「ふん、つまらん奴だ」
「あ、あのレミィさん」
声をかけたものの、肩を抱き寄せたまま歩き出されて私はその後をついて行った。