乙女ゲーム夢2
□愛しき身長差
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「ああ、イッチー」
「レン。何か?」
「日向先生から伝言だよ。後で顔出せってさ」
「わかりました。ありがとうございます」
「これくらい、どうってことないさ」
クラスで行われたそのやりとりを見ながら私は思わずにやついた口元を手で覆った。
「・・・・・・何をにやにやしているんです?」
彼氏のトキヤにそう尋ねられた私はトキヤの肩をぽんぽんと叩いた。
「だいじょーぶ! だって私よりも高いから!」
「・・・・・・は?」
訝しげな表情をしていたトキヤがよりいっそうおかしな顔をした。
「何を言っているのかわからないのですが……」
「いや、うん。いいんだよ。だって私よりも高いから不思議な感じがしただけで、そうだよね、身長ってみんな同じじゃないもんね」
「・・・・・・」
レンとトキヤが並ぶと4センチ強トキヤのが低いんだなって思っただけだし。
ただたんにそれが面白かっただけだし。
「レンを見上げてるトキヤがなんだかちっこくてかわいく見えただけだから気にしない……で・・・・・・?」
言いかけて私は言葉を詰まらせた。
――――あれ?
「―――なるほど。言いたいことがよくわかりました」
――――な、何か怒ってらっしゃる!?
トキヤには珍しいほどにっこりと微笑んで、組んでいた腕を解いた。
「つまり私の身長が低い、と言いたいわけですね」
「え!? い、や、低いってそんな……! 私よりは高いし! ……レンよりも低いだけで」
「・・・・・・なるほど」
笑顔が凄味を増した!?
驚くと同時に私はトキヤの肩に俵担ぎされていた――――なんで!?
「ちょちょちょちょ……っ!」
「っと……あれ、イッチー? 彼女も連れてどこへ行くんだい?」
レンにぶつかりそうになったらしく、驚いたようなレンの声がした。
救いの神、と思って振り向こうとしたその瞬間、ぱしりとお尻を叩かれた!!
「きゃん!」
「大人しくしてなさい。……レン、私と彼女は早退します。少し躾が足りなかったみたいですので」
「ええ!? 私すごい大人しくしてるじゃん! レン、レン助けてよぅ……きゃ、んっ!」
レンに救いを求めた瞬間、もう一度お尻を叩かれた挙句内腿をするりと撫で上げられた。
思わず漏れた甘い声に恥ずかしくなって口をふさぐと、レンが憐れむような目で私を見た。
「あー……なるほど、ね。……頑張って」
それってどっちに言ってるのー!?
私!?
もしかしなくても私!?
てゆかけっこう暴れてるのにトキヤびくともしない……細腰のくせにーーーー!!
「では」
暴れても叫んでもわめいても逃げることが出来なかった私はそのあと腰がたたなくなるまでトキヤに躾けられてしまった。
愛しき身長差
2012/8/23