乙女ゲーム夢2
□地獄の業火に焼かれようとも
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クリスティーヌは彼を受け入れた。
ぎしぎし軋むベッドの音と漏れ聞こえる喘ぎ声、エリックの色気のある艶やかな声。
聞きたくないのに聞こえてくるそれに私は必死に耳を塞ぐ。
聞きたくないからと言ってここを出ていくような、席を外すようなことも出来なくて、自分の部屋で身を縮ませる。
「クリスティーヌ……お前を愛している……っ」
切なげに放たれた、エリックの声に。
頬を一筋の涙が伝った。
ああ……どうして人の心はこうもうまく行かないのだろう。
彼が私を見てくれたなら私は全力で彼を愛したのに。
私が彼を見なくて済んだのなら、この状況を心から祝うことが出来たのに。
彼女が彼を見なければ私が涙することはなかったのに。
今まで、どんな境遇に置かれても辛くなんてなかった。
だって隣にエリックがいたんだから。
でも今は。
「……エリック……っ」
あなたはもう私の傍にはいない。
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