乙女ゲーム夢2
□愛しているのは
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軍に入ると聞いた時、私は素直に賛成した。
するとラウルは毒気を抜かれたような顔をしてぱちぱちと瞬きをした。
「・・・反対されるかと思ってた」
「あら、どうして?」
「だって危険じゃない仕事なんてないだろうし、それに……」
「そんなの、ラウルは帰ってきてくれるって信じてるもの。それに、シャニー家の名前がない、貴方自身としての実力が知りたいんでしょう? 殿方の矜持がかかった戦いに私が口を出せるものではないわ」
にっこりと微笑んでそう言った私からラウルがそっと目を逸らした。頬が赤いのは気のせいだろうか。
「……なんでもお見通しだね」
「貴方の婚約者ですもの」
胸をそらして笑みを向けると、ラウルが苦笑した。
そしてそっと私の手を取ると、指先に口づける。
「……帰ってくるよ。絶対に。賛成してくれて、ありがとう」
とくとくと胸が鳴る。
貴方に触れてもらえることに、私がどれだけ幸福感を抱いているか知らないでしょう?
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