乙女ゲーム夢2
□自信なんて
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「ん、今日は早く帰れる」
腕時計とまだ明るい空を見上げて私は笑みをもらした。
最近残業が多かったもんね。
慧にも会えてなかったし。
自分も多忙ながら、恋人の慧もまた多忙で……中々会える日程が取れなかった。
電話やメールは欠かさずしてくれるものの、そろそろ寂しくて。
「……あれ?」
信号に足を止めて、何気なく信号で止まっていた車を見て私は驚いた。
「FCだ……?」
車の運転席を見るとやっぱり慧が乗ってる。
でも……。
「……っ」
「お? 名無しじゃないか? やっほー」
「! た、かしまさ…」
ぽんと肩を叩かれてびくりと振り返るとそこには鷹島さんがいた。
「あ? あれ加賀見さんのFCじゃん。って葛西がなんで助手席乗ってんだろ?」
「……葛西、さん?」
くいっと首を傾げた鷹島さんに尋ね返すと、彼はにかっと微笑んだ。
「お前よりも前にさ、雑誌取材に来てた人だよ。ま、アルが事故ったせいですぐにやめになったんだけどさ」
「……」
「確かあの後加賀見さんの弟の、ミュージシャンの琉さんの雑誌取材したんだって」
そうなんですね、と一言返して私はぼうっと去りゆく車を見送った。
「……」
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