乙女ゲーム夢2

□不器用な二人
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「申し開きを聞いてやろう。茂を好きになればよかったと? 早くも浮気宣言か」




「……」




そんなつもりではない。


困ってしまって勇様を見上げると、彼はひどく不機嫌だった。




「俺を支えるよりも上の存在とはどんなものだ」




「……っ!」




はっと顔を上げると勇様がじろりと私を睨みつけている。




その視線に怯えながら、私は重く口を開いた。




くだらないと一笑に付されるだろうか。




「……私を、私だけを……愛してほしいと」






小さく呟くと勇様は黙り込んだ。




やっぱり、呆れられているんだろう。








「やっぱりいいで……」



「俺はお前を愛しているが」





「……え?」




「……男にこんな台詞を何度も言わせるな」





ぶすりとした顔で見下ろされて私はきょとんとした。




愛している?



私を?





「…嘘、です」





「何故お前が嘘だと断じるんだ?」






「……だって、勇様は女性を買いに行かれるじゃありませんか」





「…嫌なのか」




「……」





「お前が嫌だと言うのなら、買わん。その代り、お前が相手をしろ」





「……」






「大体、お前を一晩に何度も求めたら次の日辛そうだから、女を買って欲を鎮めていたんだ。だがそれが嫌だというなら、お前が体力をつけろ」





眉間にしわをよせた凶悪な顔をして、勇様は顔を赤らめた。




でも出てくる言葉の数々に私はどんな表情をしていいのか分からなくなってきた。





「あ、の……つまり……私は勇様に大切に、されているんでしょうか……?」





なんとか紡いだ言葉に今度は勇様が呆れた顔をした。




「……今まで、知らなかったのか?」




「し、知りません!」




「……そうか。ふむ」




考え込むようにあごに手を当てて、勇様はじっと私を見つめた。




「……勇様?」





「……どうすればお前は俺に愛されていると感じる?」






「えっ?」




逆に問い返されて驚いた。





どうすれば……?




「……少しだけ」





「うん?」





「少しだけ、愛のある言葉をください」




「……俺はいつも言ってるだろう」







「……」





(不器用な二人)




2011/12/31
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