乙女ゲーム夢2

□自分だけのものであればいいと
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龍也さんが「今日は早く仕事が終わりそうだ」っていうから、私は母校にひょいと顔を出した。











「職員室かなぁ…レコーディングルームっていうのもあり得るよね」





一人ぶつぶつ呟きながら歩いてると見知った顔が目の前を横切った。




「林檎ちゃん!」



「え? あら! あらあらあらあら! 名無しさんじゃないの〜」




女顔負けの仕種と美貌で笑みを作った顔見知りに私はにっこりと微笑んだ。




「相変わらずかわいいね、林檎ちゃん!」




「名無しさんも相変わらずかわいいわぁ! んもう、ぎゅーってしたくなっちゃう!」





腕を広げられたものだから私もその腕の中に喜々として飛び込んだ。




するとすぐに温かな腕がぎゅっと抱きしめてくれる。




ただ女性の柔らかな体じゃなくて男性の固い体だけど。







「ああ…相変わらずの見た目とのギャップ」






「あら、名無しさんったらいやらしい! 何考えてるの?」






「ささやかなふくらみすら当たらないなぁって」






鼻をくすぐる香水の香りに目を細める。やっぱり趣味がいいなぁって思いながら私は少し彼女……彼と体を離した。





「龍也さんがどこにいるか知ってる?」




「ああ、龍也なら……」













「……何やってんだ、お前ら」










「龍也」



「あ、龍也さ……」




低い声に振り向いた私はひくりと喉を引きつらせた。






―――すごい機嫌が悪い。







なにやったのSクラス!?


もしくはボス!?








固まったまま動けない私をさらにぎゅっと抱きしめて林檎ちゃんはぷくりと頬を膨らませた。





「嫌ねぇ、怖い顔して。久し振りの出会いを楽しんでただけよ」








「何が久し振りだ!? お前ら俺とこいつが会うよりも高い頻度で会ってんだろうが!」





ぐぐぐっと眉間にしわをよせた龍也さんに私は青くなるばかり。





でも林檎ちゃんは負けじと言い返す。







「龍也が変に忙しすぎるのがいけないのよ!」






「俺だって好きで忙しくしてるわけじゃねぇよ!」





「仕事バカのくせに!」






「ああ!?」






あ、やばい、龍也さんが本気でキレる。





焦りだした私よりも林檎ちゃんの方がさすが付き合いが長いだけあって、うまく言ってその場から逃げ去って行った。最後に一言私の耳元に「頑張ってね〜」なんて無責任な一言を残して。








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