乙女ゲーム夢2

□二人≠一人
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「なんだ……俺に用か?」

気だるげに睨みつけられて私は苦笑した。













「さっちゃん」



「…なんだ」



いつから、だろう。
さっちゃんが刺々しくなったのは。



「さっちゃん」



私はそっとさっちゃんに近づくとその肩口に頭を寄せた。




「……」





嫌がることも出来るだろうにさっちゃんは抵抗しない。
でも受け入れることもしない。





「私……さっちゃんのこと、好きだよ。大好き」



「っ!」




「でも……さっちゃんを好きだっていうことは…なっちゃんの存在を否定することになるのかな?」





なっちゃんも好き。
さっちゃんも好き。





でもなっちゃんへの好きとさっちゃんへの好きは種類が違う。
同じ人なのに……。







「さっちゃん…」





好き。
好きで好きでたまらない。






でもさっちゃんとなっちゃんは共存することは出来なくて、なっちゃんがいなくならないと私はさっちゃんに会えない。






「一緒だって、わかってるんだよ? なっちゃんもさっちゃんも同じなんだってわかってるんだよ? でも」





「もういい」





「! ……さっちゃん」






さっちゃんの大きな手が私の頭を抱き寄せた。





その温もりに思わず涙が溢れる。




もうすぐ、さっちゃんは消えちゃう……。






「……俺は、お前がそう思ってくれてるだけで十分だ」





「……好き、なのに……っ!」






どうして双子じゃなかったんだろう?



どうして……っ!










真正面から、めったに見られないさっちゃんの笑顔を向けられる。




そして私の唇を軽く撫でると……口づけが落ちてきた。






「俺も、同じ気持ちだ……」






そう…あなたはずるい。




決定的な言葉は言わないで私の心を縛る枷を無くそうとする。










――最後まで。

























「あれ……泣いてるんですか? 何か、嫌な夢でも見たんですか?」




「なっちゃん…」




心配そうな顔をしておろおろとするなっちゃんはいつもの通り。


それが嬉しくもあり、遣る瀬無くもなった。





なっちゃんの体は、やっぱりなっちゃんのものなんだ。




「……おはよ、なっちゃん」




私は無理をして笑顔を浮かべた。



するときょとんとしたなっちゃんがにっこりと向日葵みたいな笑みを浮かべてくれた。








「はい。おはようございます」




2011/10/22

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