乙女ゲーム夢2

□優しい居場所
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「はぁあ……」

 思わずといったかんじでもれた新八さんのため息に私は小首をかしげた。






「どうかしたんですか?」



「へ? 何が?」





「今ため息ついてましたよ?」




「あ、あああ! すまん!」





「いいえ。でもどうかしたんですか? 悩み事とか?」





 私が尋ねると新八さんはがくりと肩を落とした。






「いやなぁ……どの店に行ってももてるのは左之だけってのがどうにも納得できなくてよ」





「……」





「この間も楓って女がえらく左之に執心しててな、俺なんていないも同然って感じで……左之もまんざらじゃなさそうだったしよ。俺はもう居心地が悪くてよ」






むっとした様子の新八さんに、私は慌てて言葉をかけた。





「な、永倉さんはすごく魅力的な方ですっ!」






「……そうか?」




こくこくと必死に頷く。




「男らしいですし、頼りになるし!」




「そうか?」





徐々に永倉さんの表情に明るさが戻ってきた。




よぅし、もう一息!








「旦那様にするなら絶対永倉さんみたいな……っ!」






「何してんだ、お前ら」



「!!?」



――――なんてタイミング……っ!





「おう、左之。どうしたー?」





「どうしたじゃねぇよ! ……土方さんが呼んでたぞ。行って来いよ」





「げ……何かやったっけな……? あ、名無しさんちゃん、話聞いてくれてありがとな! おかげで元気が出たぜ!」





「…そ、それはよかったです」






最初とは考えられないくらいにこやかな笑顔を浮かべて永倉さんは土方さんの元へと去って行った。





そして残された二人。





「……で?」





「……」






「旦那様にするなら新八みたいな……なんだって?」




「あ、あれはその……っ」





じろりと睨まれて私は肩を小さくした。




怒ってる?




というか……。



「……もしかして、嫉妬してくれてますか?」





「……悪いかよ」





むっとした顔になんとなく嬉しく思いながらも、私はさっきの永倉さんの言葉を思い出した。







『左之もまんざらじゃなさそうだったしよ……』





嘘だ、っていうほどには私は自信がない。





でも……もやもやするけど、左之さんは私の恋人なんだから。





だから……大丈夫。



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