乙女ゲーム夢2
□鏡ごともまた真実
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気づけば成り代わってしまっていた。
最初はそれを幸福だと思ったしあわよくば彼に愛してもらえると喜んだ。
でも……。
「やぁ、お姫さん」
藤田に呼ばれて応接室に行くと、えらそうにふんぞり返った彼がいた。
「……毎度毎度飽きないわね」
彼に差し出された花束を受け取りながら複雑な気分になる。
女性が花を好きだと思って、「私」に喜んでもらえると思って毎回携えてくる綺麗な花。
「お姫さんのためならなんだってするさ」
肩をすくめるそのしぐさも彼に似合っている。
……いつからかしら。
とてもむなしい気分になって、とても申し訳ない気持ちになったのは。
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