乙女ゲーム夢2

□まるで百合の花
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「……ずるい」



「なんだって?」



「なんでそんなに美人に化けるのよ!」



「うーん……それは俺の美貌がなせるわざだからね」














罰ゲームで女装するというからどんなに気持ち悪いものかと喜々として見に来たのに、なんだろう。この敗北感……




「一ノ瀬くんも来栖くんもお似合いで……」



「……褒め言葉として受け取っておきましょう」



「嬉しくねぇっての……っ!」


ふくれる二人に笑って、ふと視線を落として私は目をむいた。



「ちょ、レン!?」




「なんだい、ハニー?」



「なんですね毛まで剃ってんの!?



「女装するなら徹底的に、だろ?」



「徹底しすぎでしょ……っ!」



そこまで女装に命かけなくてもいいじゃない!



色気のある眼差しを私に向けて、ばちんとウィンクされて、私はさっと視線を逸らした。




「名無しさん?」



「……っ!」



「……耳まで真っ赤だけど」



「!!」


ばっと耳を両手で隠す。


だからなんでこんなに色気にあてられて照れなくちゃなんないのー!?






「ふぅん……ハニーと一緒にこのまま女子同士の放課後デートと洒落こもうと思ってたけど、予定変更だ」



「え? へっ!?」




突然腕を引かれたと思ったらちゅっと軽いキスが唇に降ってきて、うろたえた。




たしかにこの人の恋人は私だけど! 


レンは男だけど!




いけないことしてる気分になるのはなんでなのーーーー!?






「さて、覚悟はいいかい? ハニー。俺と一緒に天国に行こうか」




にっこりと微笑まれて私は赤くなっていいのか青くなっていいのか分からず私は目を白黒させた。







(愛してるなら性別なんて)





だからレンは男だってば!!

2001/9/4

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