乙女ゲーム夢2
□ひとめぼれ
3ページ/7ページ
いつものように少しの会話と占いをしながらそのひと時を楽しんでいると突然結城さんが声をあげた。
「あ、ちょっと待ってて! ハーブティー淹れてあげる」
「え……っ」
「美味しいんだよ? 時間が大丈夫なら、どう?」
「……いいんですか?」
「もっちろん! 疲れてるみたいだしね」
「! ……わかっちゃいました?」
締め切り前でばたばたしてて、ここにも顔を出せてなくて、やっと落ち着いて癒しがほしくなってここに来たんだけど。
そんなに顔に出てたのかな?
「よーく見ないとわからないけどね。いつもと違うなー、って」
「……すごい」
「ふふー、惚れ直した?」
「! な、なんで惚れてるの前提なんですか!」
顔が真っ赤になるのを隠しながらそう叫ぶと結城さんは笑いながらバックヤードに入って行った。
「……もう」
こういう風に言われるたび、優しくされるたび、期待に胸が膨らんでいく。
もしかして脈があるんじゃないかと。
帰ってきた結城さんに「みんなにハーブティーを振る舞うんですか?」と聞いたら「滅多にしないよ」なんて答えが返ってきて、私はさらに期待してしまった。
(告白したら頷いてくれますか?)
.