乙女ゲーム夢2

□相反する心・分岐(風間夢)
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 お風呂からあがると彼は手酌で酒を飲んでいた。









 ……どうすればいいんだろうか。



 お酌でもする? しかし私なんかにお酌してもらって嬉しいのだろうか、と思うとそれもできない。





「……目障りだ。座れ」




「!」





 きつい言葉のわりにはなんとも優しい響きに私は大人しくその場に座った。黙って差し出された酒瓶を彼のお猪口に傾ける。







「……」





 窓から差し込む光に照らされる彼の横顔が綺麗で……綺麗過ぎて私は目をそらした。







「……逃げたのか」






「え……?」







「あの人間どもから逃げて来たのか」







「……」












「お前は相変わらずおかしな匂いをさせているな」



「っ!」


 ぐっと距離が近くなって首元に彼の鼻さきが押し付けられた。



 かかる息に胸の鼓動が一気に早まる。


「あ、の……!」







「……ふん。まぁいい……相手をしろ」





「え!?」





 押し倒されると同時に唇が重ねられ、液体が流し込まれた。





 お酒!?




 驚いて目を白黒させるも顎をつかまれて無理やり嚥下させられた。




「ん、んぐ……っ」




 唇が離れたと同時に漏れる息が荒く、熱い。
 お酒など慣れていない。強い酒気に喉がやかれる。





「かざま、ちか……っ」




「その、ややこしい呼び方を改めろ。千景様と呼ぶがいい……」




 二度目。











 重ねられた口づけはひどく優しくて……私は抵抗する必要を見いだせなかった……。
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