乙女ゲーム夢2
□相反する心・分岐(藤堂夢)
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「……お猿さんみたい」
正直な感想だった。
私の言葉に原田さんと永倉さんが爆笑して、土方さんと斎藤さんが小さく吹きだした。
「猿!? お前、言うに事欠いて猿かよ!」
「え……ダメ、だった? えと、じゃあ犬?」
「なんで全部動物なんだよーーーーーー!!」
「……ご、ごめんね。平助くん」
髪を短くして洋装に身を包んだまま部屋の片隅でひざを抱えて凹んでいる平助くんに謝ると、肩がぴくりと震えた。
「悪気があったわけじゃなくって、
えっと……」
「……猿とか犬とか……お前、俺のことなんだと思ってるんだよ……?」
くぐもった反論が聞こえてきてほっとした。さっきまでの無反応じゃなくなったから。
「何って、あの、平助くん……」
返答に困って私はもごもごと口の中で呟く。
かすかに顔があがって拗ねたような目が見えた。
「俺はお前のこと好きだって言ったんだけど」
「っ!」
平助くんの言葉に頬がかっと熱くなる。
「あ、の……」
「……」
「……私も、平助くんのこと、
好き、です……」
消え入りそうな声で言い終わると、平助くんはにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、許した! あ、でももう猿とか犬とか言うなよ?」
「……」
約束はできないけれど、と思いながらもこくりとうなづく。
すると平助くんは満足そうに笑って……私の額に唇を落とした。
激動の中の平和な一時。
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