乙女ゲーム夢2
□相反する心
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新選組に軟禁されて十日が経つ。
その間私はだれとも仲良くならずに縁側で寝そべっていた。
遠くから永倉新八や藤堂平助、原田左之助、そして雪村千鶴の騒がしい声が聞こえて来て、拗ねたような感情を覚えた。
さみしい……。
だれも私を構ってくれない。
でもそう考えるのは間違いで、私から接触を拒んでいるのにだれが責められるんだろうか。
「邪魔だ、どけよ」
頭の上で声がして、土方歳三が私のことをにらんでいることに気がついた。よっこいしょと起き上がって彼が通れるように道を作る。縁側から足をたらしてぶらぶらと揺らしながらなにを見るでもなくぼおっとした。
「……んなつまんねえ顔してるぐらいだったら、さっさとあいつらんとこ行ったらどうだ」
「……」
すぐに立ち去るかと思ったのに、意外にも彼が私の隣に座り込んだから驚いた。
「ほっといてください、土方歳三」
「……おめえ、その呼び方どうにかなんねえのか? 呼びにくくねえのか」
呼びにくいに決まってる。
でも。
「土方さんとか、そういう呼び方できねえのかよ」
「……そんな風に呼んだら」
「あ?」
「……知り合いみたいじゃないですか」
「ああ?」
関わらないでほしい。
あなたたちを亡くすぐらいなら最初からいらないのに。
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