アリス夢

□ケスクセ?(グレイ)
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「やぁ、そこのお嬢さん」



耳に聞こえたその声に、肩がびくりと跳ね上がった。












その声に感じたのは、はたして歓喜か恐怖か。






















「ぶ、らっど……」


「……その目はやめなさい。この上なく私を苛立たせる」

「あ、の」


その目、って言われてもわからないんだけど……。














目がいけないのかと思ってあわててうつむくと、ブラッドはわざとらしく大きなため息をつくとつかつかと歩み寄ってきた。













私のあごの下に、なんだか固いものがあたって顔を上げさせられる。


「その目には苛立つが、お嬢さんのその態度はそれ以上に苛立つな」


























あ、ほんとにイライラしてる……。



私、会わないうちにこんなにブラッドをイラつかせることのできる子になったんだ……?

そう思うとなんだか笑えてしまったけど、笑うだけの勇気もなくて。






「……お嬢さん」


前は、お嬢さんなんて呼ぶことはなかった。
ぜったいに、名前で呼んでくれた。

でも、もうそれすら……。





悲しい?












「名無しさん!」



そのとき聞こえたのは、いまでは一番近しい人の声で。

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