アリス夢
□ケスクセ?(ブラッド)
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「私、ブラッドのこと嫌いなの」
複雑な感情を押し殺してやっと向き合った同じ余所者は、心底嫌そうな顔をして私にそう言い放った。
は、と口をぽかんと広げてまじまじと彼女を見ると彼女は、アリスはそれに頓着せずに可愛らしいその顔にむっとした色を乗せた。
「えぇと……何故か聞いてもいい?」
「だってあの人のことをエリオットが最優先にするんだもの」
端的に告げられたその内容に私は大きく眼を見開いた。
アリスは苛立たしげにしていて今にも地団駄を踏みそうだ。
私は自分の気分を落ち着かせようと紅茶をポットからカップに注いで彼女の目の前に置き自分も口に含んだ。
「っ!」
「ありがと、って大丈夫?」
どうやら思った以上に思考が回っていないらしく熱いまま飲んで舌を火傷した。
……痛くてひりひりする。
「うぅ……あいひょうふ……」
「……気をつけなさいね……あなたってほっとけないわね」
「ああ、そうだろうとも。ところでお嬢さん、私と名無しさんのためにこの場は退散していただけると嬉しいんだが?」
「……誰が名無しさんを見捨てることになるって分かっていながらほうっていくと……」
「エリオットはさっき休みが取れたと喜び勇んでお嬢さんを探しに行ったが……」
「くれぐれも気をつけてね、名無しさん」
休みが「取れた」ではなく正しくは休みを「取らせた」だろう、とは思ったが目を白黒させたまま私は背後から現れた男に背後を取られたまま身動きができない。
「むむむ」
「ああ、君の火傷なら私が治療してやろう」
「!?んん」
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