アリス夢

□ケスクセ?8
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「名無しさん!?名無しさんじゃねぇか!!」
分かっていても突然すぎて。




















会合で集まった人達の中からオレンジ色の大きな人が飛び出した。


同じ色の耳がぴょこんぴょこんと興奮したようにはねる。







「……エリオット」








呆然としたつぶやきが漏れ、無意識にきゅっとグレイのスーツを掴んだ。


視線が外せない。



エリオットが嬉しげに駆け寄ってくるのとその後ろにかわいい女の子、
そして……。









ぎゅっと口を閉じて身を竦めた。






逃げられるわけもなく自分が相対しなければいけないことなのにグレイに助けを求めそうになる。





視界の中で焦がれたその人が小さく眉間に皺を寄せた。





双子がいない。

けれどもそれは私の凍った思考を立ち上げてはくれなかった。








「こっちに来てたんだな!久しぶり、元気だったか?」








にこにこと曇りない笑みで目の前に立たれ、視界が彼でいっぱいになる。



そこで私はやっと酸素を体に取り込んだ。


そこまで緊張していたことを初めて知る。

彼のおかげで落ち着いた。



彼には痛みよりも懐かしさが先に立つ。




「久しぶり、元気そうだね、エリオット」

「ああ!俺も、ブラッドも元気だ!あ、あとアリスと双子もな」

にっと笑って私の頭を一つ撫でる。

エリオットの言葉に暗くなりかけて慌ててぐっと顔をあげた。

「そっか、良かった。」

ふとエリオットが視線を上げた。それを追うようにグレイを見てぎょっとする。





すこぶる機嫌が悪い。







まずい、ここから離れなくては。



会合の間は不可侵条約のようなものが成り立つと聞いたけど……この状態ではグレイ自らが破ってしまいそうだ。

「あんた……」


「え、エリオット!私たち急いでるの、もう行くね?」


「え?」


「行こう、グレイ!」

ぐいっとグレイの腕を引く。


でも。









「待ちなさい」

















痛くていとしくて懐かしい声が、響いた。


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