アリス夢
□ケスクセ?8
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「似合うな」
一言漏らされたその言葉が嬉しすぎて、私は思わず顔を緩ませた。
ふだん私が身につけているものよりも、大人っぽいその服を着て、グレイの隣に並ぶと、なんだかいつもよりも距離が近くなった気がして嬉しかった。
「ね、ナイトメアが選んでくれたのよね?この服」
あとでお礼を言いに行かなくっちゃ、と思ってそう尋ねたら、グレイはゆっくりと私から視線を逸らした。
「ちがう」
「え、なにが?」
「その服は、俺が選んだ」
「え」
「だからお礼は俺に言ってくれ」
そう言ってグレイは自分の口元を手で覆った。
なんだか耳が赤い気がするのは……気のせいじゃないんだろうな。
そう思うとすごく幸せな気持ちになれた。
「ありがとう、グレイ。この服、すごく素敵」
そう、こうしていれるのがあと少しだとしても。
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