アリス夢

□ケスクセ?3
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「ナイトメア、仕事は?」



「……名無しさん、君は最近グレイに似てきたんじゃないのか!?」



「自業自得です、ナイトメア様」




私は愚かにも日常に逃げられるのが怖い癖にまた同じ過ちを繰り返す。
日常など持たない方が楽なのに。


ユリウスのいた時計塔も、そしてゴーランドやボリスのいた遊園地もなくなって、新しくクローバーの塔と森が出来ていた。まぁグレイに言わせたら私達が「引っ越し」て来たのらしいけれど。


……帽子屋屋敷とハートの城は健在らしい。



私はそれこそなくなっていれば良かったのにと一瞬でも思ってしまった自分を、愚かで浅はかで幼稚だと後悔した。



「いーやーだー!!私は仕事なぞしないぞっ」

「我がままを言わないでください、ナイトメア様」

「さっきグレイが野菜なんて無理やり食べさせるから気分が悪くなったんだ!吐く、吐くぞっ」


……いったいどこの子供だ。
どこの駄々っ子だ。

私は呆れた視線を送りつつも本のページをぱらりとめくった。


「ああ、そうだ。名無しさん、君がこの間探していた本が届いてるぞ」

「へ?」

突然のグレイの言葉に私はぽかんと口を開け、話が呑み込めずに小首を傾げ片手に大きな包みを持つグレイとむっと口を尖らせるナイトメアを交互に見た。

グレイに本を取り寄せてくれるように頼んだ覚えもナイトメアに頼んだ覚えもないのだが。

はて?

「ほら」

「!これっ」

手渡された私好みの小説。

この国にいてなお読みたいのかと問われれば困りそうなほどのメルフェンなファンタジー。この間ぶつぶつ題名を唱えながら書斎を探していたのだが結局見つからず諦めたところだった。



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