アリス夢

□ケスクセ?
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目が覚めたらそこは私の知らない場所で、ぽかんとしながらまだ働かない頭でゆっくりと周りを見回した。









それまでのことを何も覚えていない。

なぜここにいるのか。

どこか胸の中が悲しい思いでいっぱいな気もしたがそれすらもなんだかどうでもいいような心地がして。







そして目の前に立ちふさがるように、見下すように立ったその男性に視線を向けた。







おかしななシルクハット?をかぶりステッキを片手に気だるげな雰囲気の中に喜色をにじませたその人。



どこかその人の機嫌がいいことを感じながらなぜ機嫌がいいのかなど分かるはずもなく、私は知らない人の注目を浴びているということにただびくびくと心の中で怯えた。







「……余所者か」








そしてゆっくりと吐き出されたその人の言葉に心臓をぎゅっとわしづかみにされたような衝撃を覚え、私は慌てて立ち上がった。


「す、みませ……っ」


勝手によその敷地に入り込んでしまったのだと自分の馬鹿さ加減を恨みながらも泣きそうになりながら謝るとその人は私の言葉を遮るように言った。



「私の元に来るか?」



その言葉にふと見上げたその顔は気だるげなものの、確実にどこか喜色を滲ませていて。

嫌われているわけではないのだと。

怒られたわけではないのだと。

安心した途端にお腹がくうと鳴った。






それがその人との出会い。






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