アリス夢
□認めません!
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「はー・・・・・・」
心底疲れたようにため息をついたユリウスの目の前にコーヒーを置いて心配になった私はユリウスの顔を覗き込んだ。
「・・・・・・あの、面倒な兄でごめんね。私と別れたくなった?」
そう尋ねた私を深い夜色の瞳で下からじっと見上げて、ユリウスはそっと私の手を取ってその甲に口づけた。
「あんな面倒な兄がいると知っていても、私はお前をそばに置きたいんだ」
そのまま引き寄せられて膝の上に横抱きにされる。
ひ弱そうなのに、意外とがっしりした腕に抱きしめられてほっとした。
「お前は、お前が思っている以上に私に愛されているよ。名無しさん」
「……っ!」
滅多に吐かない愛の言葉を惜しげなく伝えられて、一気に頬が熱くなってしまった。
間近で微笑まれて軽く唇が重なった。
「認めませんからね俺は! 誰がなんと言おうとあの二人が付き合うのは認めません! ええだって名無しさんは俺のたった一人のかわいい妹なんですからね!」
「あー・・・・・・耳元で怒鳴るな・・・・・・余計に具合が悪くな……ぐふ…っ」
「聞いているんですかナイトメア様!?」
「聞いてる聞いてる嫌でも聞こえているさ…」
2012/12/31