アリス夢

□癒し
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私はこのクローバーの国に迷い込んだ余所者だという。




それがどんな意味を持っているかはあんまりよくわかってないけれど、みんな優しくしてくれるし、深く意味を知らなくてもなんとかなりそうだと納得した。






最初はなんで自分がここにいるのかとか、ここがどこなのかとかよくわからなくて戸惑っていたんだけど。






「君は……なんだ?」






不思議そうに、悪く言えば不審者を見る目で見られて私はびくつきながら名前を名乗った。





すると大きな男の人は鋭かった雰囲気を和らげてくれた。






「余所者か」





それがどんな意味なのかわからなかったけど、声の響きが優しかったから「余所者」が悪いものじゃないんだとわかった。






「君はいくつだ?」



目線を合わせてしゃがんでくれるその姿勢に優しさを感じた。







「25になります」



「……25」




呆然としたように呟かれたことに、頬が熱を持つのを感じた。




確かに25というには幼すぎると何度も言われてきた。







……誰に?










思考に沈みこもうとした私に頭を、彼はくしゃりと撫でてくれた。








「!」

「そうか、25か」

「あ、あの?」



「ああ。すまない。俺はグレイ=リングマークという」




「……グレイ、さん?」




「グレイでいい。俺と一緒に来るか? 行く場所はまだないんだろう?」





優しい笑顔に促されて私はぱっと顔を上げた。





「い、いいんですか?」




「ああ。もちろん」






胸の奥から嬉しさとか感激が湧き上がってきて、私は口元が緩んでしまうのを感じながらそれをおさえずににっこりと微笑んだ。






「ありがとうございます、グレイ!」





「……」





「……グレイ?」






ことりと首を傾げるとグレイがほんのりと頬を染め上げた。









「……可愛い」





うっとりと。
それはもううっとりとした視線を向けられて私は戸惑ったまま固まってしまった。



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