アリス夢
□好きの種類
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「うぅ…やべぇ、すげぇ眠い」
目をこするエリオットを見て私はくすりと笑った。
「ほんとに眠そう。寝ていいよ?」
「嫌だ。もったいない……」
「でも今にも眠っちゃいそうなくらい目がとろんとしてる。ベッドに横になって眠った方がいいよ」
柔らかな髪をくしゃりと撫でるとエリオットはとろんとした目で私をじっと見た。
「エリオット?」
「…添い寝してくれるか?」
「え?」
「……添い寝、してくれたら寝る」
だだをこねる子供のようなエリオット。
ぱたぱたと揺れるオレンジ色の耳に母性本能をくすぐられる。
ときに私を守ってくれる大きな体のはずなのに。
「……大きな子供が出来たみたいだわ」
「え?」
「……ぐっすり眠って、起きたらケーキ作ってあげる。キャロットケーキ」
「ほんとか!?」
ぱっと表情を輝かせたエリオットに笑みを漏らしながら私は頷いた。
「うん。だから、寝よっか」
ごそりとエリオットのベッドに身を横たえる。
鼻をかすめるエリオットの匂いにどきりとしながら寝心地のいいベストポジションを探してごそごそ動いていたら、あとからベッドに入ってきたエリオットが抱き枕よろしく私を抱き寄せた。
「!? エリオット!?」
「どした……? あ、やべぇ…まじで眠い」
実は本気で限界だったらしく、エリオットは私を抱き寄せたまま気持ちよさげに眠りの国に旅立った。
でも私は。
「…どうしよう…眠れない…」
温かな胸に安らぎを覚えてしまって、ドキドキする自分の胸の音が聞こえていないといいなと思った。
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