アリス夢
□大人じゃないから
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「ハーブティどうぞ」
「名無しさん?」
タバコを吸おうとしたグレイの前にことりとカップを置くと不思議そうな顔をされた。
「……」
「タバコよりも健康的だと思います」
肩をすくめた私に苦笑して、グレイはタバコを懐にしまった。
「たしかにな。有難くいただこう」
「……飲んだら」
「うん?」
「飲んだらタバコ吸ってください」
「……」
変な顔をするグレイににこりと笑いかける。
「グレイがタバコ吸ってるの、かっこいいから見るの好きなんです」
てれを押し隠して言った言葉にグレイがさっと顔をそむけた。
頬がほんのり赤いのは気のせいか。
「……君」
「なんです?」
「小悪魔だとよく他人に言われないか?」
「……今まで一度も言われたことありませんが」
「……そうか」
ため息とともにハーブティを一口飲んで「美味しいよ」とコメントをくれた。
そしてそのあと、美味しそうにすこし複雑な顔をしてグレイはタバコを吸ってくれた。
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