遙か夢伍
□煌めくかけらは万華鏡のよう
1ページ/1ページ
「来い」
手招きされた私は、とくりと胸が波打つのを感じながら彼に近寄るのだった。
「・・・・・・執務の邪魔にならないの?」
心配になって尋ねるのに、アシュヴィンは私を膝に乗せたまま机に向かうことをまるで苦に思っていないようだった。
「いや、まったく?」
「・・・・・・」
「今日も仲睦まじくていらっしゃいますね」
「・・・・・・ありがとう」
リブがにこにこと笑いながらお茶を淹れてくれる。
最初は恥ずかしくてたまらなかったのに、最近ではそれが普通になってきているから恐ろしいと思う。
「お茶美味しい・・・」
はふ、と息をつくとアシュヴィンが背後から私の手のカップを取り上げて机に戻した。
「アシュ? んっ」
「・・・・・・甘いな」
「・・・・・・顔しかめるならおもむろに接吻するのやめてよ」
リブもいるのに、と思いつつ結構日常茶飯事になりつつあるこの行動にどう抗議の声をあげればいいのか自分でも迷っていた。
甘々な雰囲気にいまだ戸惑う。
「・・・我が奥方はいまだに慣れないらしいな。早く慣れろ」
私の心中を察したのか音をたてて唇にキスを落とすアシュヴィンの胸元を悔し紛れに叩く。
「・・・・・・うるさい」
「いやぁ……仲がいいのはいいんですが、あてられますねぇ」
(甘々な新婚生活に)
2013/12/9