遙か夢伍

□恋する瞳に
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クリスマス、迎えに行くと玄関先で将臣に会った。




「よう。名前と約束してるのか?」





「オレが神子姫様と約束してたら困るだろう?」





「口の減らない奴」





なんでよりによって同じ時間なんだ、と舌打ちしたい気分で将臣の隣に立つ。するとほどなくして神子姫様が家の中からあわただしく出てきた。




「待たせてごめんね、将臣くんッ」




「待ってねぇよ」





オレなんて目に入らない、とばかりに望美は将臣に駆け寄って笑顔を見せた。・・・・・・いつもより数段お洒落に気合が入ってる。





「だから用意してから寝なさいって言ったのに…望美、忘れてるよ」




「あぁ! ごめんね、お姉ちゃん…ッ」





困ったような笑顔で望美を追いかけて出てきた名前に一瞬息が止まるかと思った。




―――――ちゃんとお洒落してくれてる。





望美と同じでいつもまっすぐに流している髪を少し巻いた状態で肩に流し、ブーツとスカートも初めて見るものだ。





綺麗、だ・・・・・・。






みっともなく褒める言葉もなく眺めていると名前が微かに微笑んだ。





「行ってくるね」



「じゃあな」




望美と将臣は二人肩を並べて歩き出した。




その二人の背中を見つめる名前の微笑みは・・・・・・儚い。


今にも消えてしまいそうな様子で・・・・・・オレは思わずその手をきゅっと握った。絡めるようにして、深く。




名前は少し驚いた顔でオレを見て・・・・・・それからはにかむように笑ってくれた。微かに握り返してくれる手の強さが愛しさをかきたてる。





「・・・・・・オレたちも行こうか」




「うん」





こんな風に綺麗に飾り立ててくれたのがオレのためだというのが嬉しい。



でも将臣たちを見る目が切ない。





「・・・・・・今日の名前、今までで一番最高だよ。・・・・・・綺麗だ」






自分ではこれまでで一番精一杯彼女を褒めたつもりだったのに、声はみっともなく震えてた。

でも名前は全部分かってるみたいに笑みを返してきゅっとオレの手を握ってくれたんだ。

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