遙か夢伍

□華たおやかに
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目を覚ますと、間近に桜智さんの優しい眼差しがあってずっと見られていたのかと羞恥心で熱が上がるのを感じた。





「あ、の・・・・・・」





何も身に着けていない素肌が触れあってそれが余計に気恥ずかしく、昨夜の出来事をいやおうなしに思い出させた。





きゅっと目を閉じた私を、見た目に寄らず逞しい桜智さんの腕が抱き寄せた。





「・・・・・・ああ・・・・・・君をこんな風に抱きしめることが出来るなんて……っ」





感慨深げに放たれた言葉に、閨の睦言で囁かれた「好きだ」「愛している」という言葉を思い出した。



それにつられてその広い背中に爪を立て自分も「好きだ」と想いを告げたことまで思いだしさらなる羞恥に目が開けられなくなって。





「・・・・・・出て行くなんて、許さないよ・・・・・・君の居場所は、私の腕の中だけなのだから・・・・・・」





低い声がそう甘い言葉を囁くのを、きゅんと胸を疼かせながら聞いていた。




2013/06/23
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