遙か四
□異邦人
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森から抜けて出れたと思ったその時、小さな少女と目が合った。
のちに13歳と知るその少女は年齢よりも幼く見えて、俺は安心して近づいて行った。
「なぁ、ここは一体どこ・・・・・・」
ひたすらに大きな目をさらに大きく見開いて驚く彼女に近づいて行った俺は反射的に横に飛んだ。
運動神経はいい方だと思っていたが、その時ほど自分の野生の勘に感謝したくなったことはなかった。
「なんだってんだ……っ!」
「おい、貴様・・・・・・ここが平家の屋敷と知った上での不法侵入か・・・・・・?」
少女を背後に庇い、すらりと剣を抜いたその男に俺はぞっとした。
―――――殺される。
生まれて初めて、そう思った。
どう避ける?
頭で考えてもきっと体がついてはいかないだろう。冷や汗をかきながらもそう予想を立てた俺を、その少女は背に庇い凛と叫んだ。
「お止め下さい、知盛兄様! この人は悪い人じゃない!」
「・・・・・・根拠は?」
「私の力を知ってるでしょ?」
どこか自信満々にそうとだけ言い放った少女と威圧感を出す男の間に緊迫した空気が流れた。
無言で男と少女は睨みあい・・・・・・少女が勝利を収めた。
「……命拾いをしたな・・・・・・」
不愉快そうにそう言って、男は刀を鞘に戻す。
一瞬にして霧散した緊迫した空気に俺はのろのろと顔をあげた。
目が合った少女はどこか戸惑った様子を見せたけれど、すぐにふわりと笑顔になると俺に向かって頭を下げた。
「・・・・・・はじめまして。あなたを歓迎します・・・・・・有川将臣」
「!?」
後に、彼女に先見の能力があるということを教わった。
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