遙か四
□異邦人
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森から現れた彼を見た瞬間に分かった。
「有川将臣」だ、って。
まだこの世界に来たばかりの彼だって。
私は転生して平家の、知盛兄様と重衡兄様の妹として・・・・・・そして、重盛兄様の妹として生まれ落ちた。
みんなにかわいがってもらって、中に入れば気のいい彼らと過ごす毎日はとても楽しかった。剣を習いたいと言ったためにおてんば娘と言われたけれど・・・・・・本当に楽しかった。
いつ没落するとわかっていても。
いつ、誰が死ぬとわかっていても。
だから、私は時を惜しむようにみんなと過ごした。
そして自分の持てる知識の全てを最大限に利用して、平家が「最悪」の形で没落することを阻止してきた。
清盛お父様をはじめ、一族のみんなには「先見の姫」と呼ばれることになったけど、そんな不思議な力は私にはない。ただ、知識をうまく使っただけで。
そしてある時私は彼と出会ったんだ。
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