遙か四

□裏切りの報いとその果てに
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頭が真っ白になった。



何を言われているのか分からなくて、分かりたくなくて。




でも弁慶さんの言葉の意味を、残酷さを、理解したと同時に怒りがこみ上げた。





悔しくて・・・・・・切なくて。






ぐるりと部屋の中を見回しても弁慶さんから贈られたものが多く置かれていて、耐え切れずにそれらを一つどころに集め。






着物や、装飾品や、衣や・・・・・・いろんなものを一切合切抱えて弁慶さんの部屋を訪れた。




「・・・・・・おや、どうしたんです?」



立ちながら作業をしていた弁慶さんは書物から顔を上げて不思議な顔をした。



「ぜんぶ返す」




気分としては投げつけたいほどだったけれど、身についた常識がそれを思いとどまらせた。





ただ声が震えないように必死になって。





「物に罪はないと思いますが」




肩をすくめた弁慶さんにきゅっと唇を噛みしめる。





「いらない」



「なぜ?」



「想い出のつまったものなんていらない」




「ふ・・・・・・想い出、つまってるんですか? ……っ」




完全に私を馬鹿にしたように笑った弁慶さんに頭の中が真っ赤になって。

癇癪を起した子供みたいだ、と思いながらも瞬間的に両手に抱えた品々を弁慶さん目がけて投げつけた。



「もう何もつまってないわよ!」



しゃらん、と頭の上で簪が鳴る。


今までは音が鳴るたびに胸を躍らせていた。


でも、今となっては・・・・・・。





頭から簪を抜き取るとまとめていた髪がさらりと背中を打った。






「これもいらない。何も、もういらない!」



彼目がけて簪も投げつけ、さっと踵を返した。

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