遙か四
□いつかまた
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あれから一週間。
彼女の容態はよくはならなかった。
ずっと胸を押さえて苦しそうにしてうなされている。
「・・・・・・」
何故か僕はその傍らで看病を続けているわけだけど。
「・・・・・・頑張るね」
汗で額に張り付いた髪をよけてやる。
見たところ、彼女は心臓が悪い。
そんなに長くはもたないだろう。こうしている間にも弱っていっているのが分かる。
それでもよくここまで耐えている、と感心にも似た思いで考えてすっと腰をあげた。
これ以上ここにいても仕方がない。
離れている間に死んでしまうかもしれないな。
我ながら残酷なことを考えて彼女を見下ろすと、この一週間ちらりとも開かなかった目元がゆっくりと開かれた。
「・・・・・・は・・・・・・」
「!」
瞳が宙を泳ぐようにさまよって、僕を捉える。
その瞳にどう反応していいものか考えていたらふわっと彼女は唇を綻ばせた。そして再び苦しそうに目をつむって。
「・・・・・・ここで目を開けるとか、反則でしょ」
一気に紅潮した頬を持て余す。
僕を映した瞳は綺麗な紫苑色だった。
「くそ・・・・・・っ」
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