遙か四
□運命という名の引力8
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「・・・・・・」
頬が冷たい。
枯れたと思った涙はたやすく頬を滑り落ちた。
ぐるりとまわりを見回すとそこは見知らぬ場所で、私はゆっくりと立ち上がるとその場所を離れた。
洞窟の様な場所を出てふらふらとさ迷い歩く。
土を踏み、草を倒し、林の中から誰かが出てきてくれないかと・・・・・・景時さんが出てきてくれないかと歩く。
景時さんが私たちを裏切ったなんて嘘でしょう?
私を重荷に思っていたなんて嘘でしょう?
私を捨てたなんて嘘でしょう?
だって空に輝く月は、最初に会った夜と同じように綺麗に輝いているのに。
洞窟の中には景時さん以外みんなそろっているのに。
それ、なのに。
―――――どうして私の心はこんなに傷ついて、涙が溢れて止まらないんだろう。
「景時さん・・・・・・」
名前を呼んでも、返事をしてくれる人はいなかった。
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