遙か四

□運命という名の引力8
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「は……っ」



目を覚ますと見えたのは見慣れた天井で、夜闇に響く虫の音に肺の中の息を吐き出す。



「夢・・・・・・」




夢、か、と思って泣きたくなるほどほっとした。


よかった・・・・・・。



そうは思ったものの不安になって身を起こそうとして自分の体に回された温かな腕に気が付いた。



「!」



「ん・・・・・・どうかした?」




優しい緑の瞳が寝ぼけながらも私を心配そうに見つめていて、私は苦笑して頭を振った。




「どうもしないよ…大丈夫」



「・・・・・・名無しさんの大丈夫は大丈夫じゃないんだよね」





くす、と笑って景時さんは私を抱きなおしてくれた。

温もりを分け与えようとするその抱き方に安心して、その広い胸にすり寄る。



「・・・・・・景時さん」


「うん?」



「私たち、ずっと一緒にいられますか…?」




自惚れの強い質問。

応、と答えてくれるのを見越したうえでの質問。



「そんなこと・・・・・・当たり前だよ」


私の不安を吹き飛ばす様に微かに笑って、景時さんの唇が額に触れる。





「愛してるよ、名無しさん・・・・・・」




甘く囁く声はどこまでも優しく、優しく・・・・・・。


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