遙か四

□運命という名の引力2
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意識を失った彼女を連れて京邸に戻ろうとしたオレは、ふと弁慶の存在を思い出して彼女を弁慶に診てもらうべきなのかと考えた。



しかしとりあえず京邸に戻るべきかと考えてオレは馬を駆らせたのだった。








「至急弁慶を呼んできてくれ」




京邸に着いてから文を出して弁慶を連れてきてくれるように頼んだ。



そして沸かしておいてくれたお風呂に彼女を連れて行き・・・・・・困った。


体を、拭いてあげるべきだと思う。


泥や土にまみれていたし、それでなくとも男たちに好きに触られた体は気持ち悪いだろう。
しかし赤の他人で、しかも異性であるオレがそれをしてもいいものだろうか、と。




「・・・・・・ごめんね。他意は、ないから」




言い聞かせるようにそう言って、オレは彼女の体を清め始めた。


それでも彼女は目を覚まさない。



悪夢を思い出さないようにと目を閉じたまま、開けることはない。


ただ頬を涙が伝った後が、切なさを掻き立てた。


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