遙か四
□運命という名の引力
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息が詰まった。
引き倒された衝撃に。
でも本当の恐怖はそこからで。
「おいねえちゃん、こんなに足を出して誘ってんだろ? ああ?」
「ひゅぅ……っ」
「ぃ、ぃゃ……」
恐怖で歯の根が合わなくてがちがちと嫌な音が鳴っている。
そうと分かってもそれを止める術はなく男たちに両手両足を拘束され、私はただこれから襲い来る恐怖に怯えていた。
「ずいぶんべっぴんさんだな…しかも妙な服着てやがる」
「いいから脱がせろ。脱がせたら同じだろうが」
「わぁったよ」
口々に好き勝手に喋った男たちに微かな抵抗を示すがそれも虚しく胸元が寂しくなった。
「おおう。綺麗な乳じゃねぇか」
舌なめずりしそうな男たちが興奮に顔を赤くして私の胸元を荒々しく掴んだ。
「やわらけぇ…」
虫が肌の上を這いまわるような気持ちの悪さにぎゅううっと目をつむってそうとわからないように必死に足を閉じていた。
「おい、足も開けよ。こりゃずいぶんな上玉じゃねぇか」
膝がしらに手がかかる。
「ゃ・・・・・・ゃ……っ!」
「おら、この! 開け、って……っ!」
「……っ!」
力づくで開かれた両足の間に注目されているのが分かって羞恥心で頭の奥が真っ赤に染まった。
けれど辱めはそれだけでは終わらなくて。
「ん、なんだ? この布っきれ」
「わけわかんねぇもん着てやがる・・・・・・」
「破っちまえよ」
背中に土の冷たさを感じ、真上に輝く月の光を感じ、男たちのがさついた手の感触を感じ、いっそこのまま死んでしまえればいいのにと思いながら私は涙を流して、最後の力とばかりに声が嗄れるほど―――――叫んだ。
「いやああああああ! 誰か助け……っ!」
「この……っ!」
ばしりと音がして頭の奥で星が散った。
叩かれたと分かったのは頬に衝撃が走って徐々に熱を持つのが分かったからだ。
「黙れ! 大人しくしてたと思ったら……っ」
「おい、布だ布! 口につっこめ!」
「むぐ……っ」
口の中に臭い布をつっこまれてむせそうになった。
でもそれすら許してもらえなくて。
もうこれは助けなんて来ない。
私はこのままこの男たちに抱かれてしまうのだろう。
ストッキングを破りショーツを引き下げる男たちの動きに、目が虚ろになるのを感じた。
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