遙か四
□ずるい私と、そして…
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神泉苑の桜を見上げながらも私の心は晴れてくれなかった。
桜の絨毯が敷かれだした神泉苑。
その美しさは私の心の醜さを浮き彫りにするようで・・・・・・心に痛い。
「名無しさん殿」
「! は、はい」
「・・・・・・聞いてほしいことが、あるのです」
いつになく真剣な表情の永泉さんに胸がどきりとした。
まさか、記憶が戻った?
もしくは私の醜い心を見破られた?
頭まで打ち付けるように心臓の音が大きく鳴る。
けれども。
告げられたのは。
―――――もっともっと、嬉しくて切なくて虚しい言葉。
私が、言わせた言葉。
「私は、あなたのことが好きなのです・・・」
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