遙か四
□ずるい私と、そして…
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アクラムのせいで八葉と神子の絆がなくなってしまった。
永泉さんからもあかねの記憶がなくなって・・・・・・あかねはショックを受けていたしもちろん私もショックだった。
でも、永泉さんから消えた記憶があかねだけのものだとわかって・・・・・・私にむけてくれる笑顔がいつもと同じだとわかって・・・・・・私の心に闇が差した。
今なら永泉さんは私を見てくれるのではないかって。
そう、思ってしまった。
「神泉苑の桜が見事なのです。よろしければ私と共に見に行きませんか?」
頬を赤く染めて照れながら誘ってくれる永泉さんの言葉が嬉しい。
永泉さんは前よりも積極的に私のことを誘ってくれるようになった。
でも……徐々に心苦しさが増していく。
あかねが一生懸命呪いを解こうと頑張っているのに私は永泉さんと出かけてばかりで。
永泉さんはもともとあかねが好きだったのに、私が騙して奪っているみたいで。
――――ううん。
みたい、じゃなくて真実そうなんだから。
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