遙か四
□幼いころの約束を
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幼い頃に別れた大好きな人。
私は今でもあなたが好きです。
「兄様! 九郎がここに来るって本当なの?!」
「名無しさん・・・・・・はしたないぞ。もう少しおしとやかに出来ないのか」
「あら、仕方ないわ。だって兄様の妹なのだもの。眉間にしわをよせて仏頂面をしていないだけで十分だと思って?」
小首を傾げると艶やかな黒髪が動きにそって流れる。
妹はその兄によく似ていた。
「・・・・・・明日には着く。銀を迎えにやった」
「銀を?」
綺麗な姿をした兄の部下を思い出して、私はこくりと頷いた。
「だったら安心だね。わぁ……久し振りだな」
元気だろうか。
私も成長した。彼も、成長したことだろう。
・・・・・・成長した彼の目に、今の私はどう見えるだろう?
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