遙か四

□座談会
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「なぁ、どんな家庭を築きたいとかあるか?」



その座談会は、将臣くんのそんな一言で始まった。










「私は旦那様とずっと仲良く出来て、子供たちもすくすく育つような環境のある家庭がいいなぁ」



望美が何かを想像するようにそう言うと朔はふわりと微笑んだ。



「私は、穏やかな家庭が理想ね」



ほんの少し憂いを帯びたその横顔を見つめながら、景時さんが口を開いた。



「俺は明るい家庭がいいね〜。俺と、奥さんと、子供たちと・・・・・・嘘のない、穏やかで明るい笑いの絶えない家庭を作りたいよ」




照れながらそう言って、九郎は?と話をふった景時さんに九郎さんが真剣な顔をして返した。



「もちろん、俺の子供にも剣を教えて兄上のお役にたてるようにだな」


「あー、九郎。お前はもうちょっとその兄上から離れた方がいいって」



呆れた声で九郎さんを押さえた将臣くんに弁慶さんがくすりと笑って重ねた。



「そうですね。どんな奥さんが欲しいとかあるんじゃないですか?」



「な……っ! ・・・・・・だが、そうだな。大人しいだけじゃなく、自分の意志をしっかり持った女性なら、一緒にいたいと思う」



頬を赤く染めた九郎に一つ頷きリズ先生もくすりと笑って遠くを見つめた。





「私は・・・・・・そうだな。家族が欲しい・・・・・・」



「オレはみんなでわいわいがやがやできればそれでいいさ」



「私は・・・・・・家庭など・・・・・・持てる存在ではない。だが、そうだな…もし持てるというのなら・・・・・・温かな家庭を持ちたいな」



「オレかい? 子供は一男二女だね。奥さんはかわいく気立てがよくってさ、周りから夫婦仲がいいって羨ましがられるような間柄を保ちたいね」


「僕ですか? 僕は・・・・・・そうだな、一緒に薬草を摘んだりそういった生活を苦に思わずにいてくれる人がいいですね」




「俺は・・・・・・」


「お前はいい。言う前からわかるからなんかいい」



「どういう意味だよ、兄さん!」


「そういう意味だよ」


「ま、まぁまぁ将臣くん。聞こうよ、譲くんの話もさ」


「聞いたって面白みがないと思うぜ?」


「失礼だぞ!」


「事実だろう」


「・・・・・・」


「ま、家庭を持ちたくてもこの戦を終わらせなきゃ話しにならないんだけどな」


ひょい、と肩を竦めた将臣くんに望美ちゃんが笑った。


「大丈夫! みんな絶対、幸せになれるから」



その笑顔と言葉の強さに、みんなが微笑して頷いた。








――――平和な世を、早くこの手に。
 

2013/01/19

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