乙女ゲーム夢4

□総司自分勝手奮闘記
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むかつくなぁ、もう。







彼女を見ているときの感情は大体それだ。




いつも無表情で淡々としてて可愛げがない。




そのくせに自己犠牲が過ぎて仲間よりも自分の身を危険にさらす。彼女が男だと信じて疑わない他の隊士たちは助けてもらっているくせに彼女に怯え怖がる始末。






・・・・・・むかつくなぁ、もう。











「ん…」






屯所の角を曲がろうとしたその時、視界の隅に見知った着物の柄が見えて足を止めた。



気配を殺して窺うとそこには名無しさんの姿。





「あんなところでしゃがみこんで何して…」




怪訝に思った僕の耳に聞こえた「にゃあ」という微かな声。





「・・・・・・」





彼女の足下には猫がじゃれていた。





名無しさんが手を出す。




その手をぺろりと小さく赤い舌が舐め上げた。






「――――――」







思わず、目を驚愕に見開く。











なんて柔らかい表情・・・・・・小さく笑った・・・・・・嬉しそうに。





思わず高鳴った胸を片手で押さえて、立ち上がり去っていく彼女の背を眺めつづける。








―――――そんな顔、出来るの。
















なんて破壊力だよ。









一気に熱を持った頬を手の甲で擦り、僕は踵を返した。

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