乙女ゲーム夢4
□総司自分勝手奮闘記
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羅刹みたいだ。
私のことをそう評したのは一体誰だっただろうか。
まぁ、そんなことはどうだっていいんだけれど。
戦闘の中自分の身を顧みずに突き進んでいく私が持ち場に戻るといつも沖田さんが苛々した顔をして見ているのは知っていた。
私が男装しているのを知っているから余計に腑に落ちないのかもしれない。
どうしてそこまでわが身を犠牲にするのか、と。
周りにも助けてくれてありがとうという言葉ではなく怯えに似た視線を受ける。
でもそれだってどうでもいい。
私は生に興味がないのだから。
ぱしゃ。
顔についた血だけでも洗い流そうと井戸の水で顔を洗っていたら隊服を脱いだ沖田さんが近づいてきた。
「お風呂は」
「私は皆が終わってからでないと無理なので」
互いに言葉少なに会話をやりとりする。
何の用だろう、と思っていた私の顎の下、喉に当たるかどうかというところに冷たい金属が押し当てられた。
ついと月明かりの下その冷たい美貌を見やると、彼は冷たい瞳のまま言い放った。
「いつもいつもわが身を顧みない無茶な戦闘をご苦労様。そんなに死にたいなら、殺してあげるよ?」
くつりとその唇の両端が持ち上がる。
それを見つめ、私も淡々と言葉を返した。
「それであなたの気がすむなら」
「…」
私の答えに沖田さんは気分を害したようで、眉間を引き絞ると唇をへの字にゆがめた。
「何それ。死にたいわけ」
「元より自分の生に興味はありません。・・・・・・それは沖田隊長もそうだと思っていましたが」
抑揚のない声でそう返すと、彼はひどく苛立った様子で刀を手元に戻した。
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