乙女ゲーム夢4
□苛めっ子と苛められっ子の結末は
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「ななななななんで足と手を括りつけられてるんですか……っ!?」
「だって怪談話がしたくてさぁ。君こういうの苦手だから泣いて逃げちゃうでしょ? だから逃げられないようにって」
「〜〜〜〜〜!?」
にっこり笑顔で怪談話を始めた沖田さんに恐怖を抱いても助けてくれる人もいず、私は本気で泣きながら怖い話を聞き続けざるを得なかったのだった。
猫みたいな笑みを残して大満足して部屋を出て行った沖田さんと、大打撃を受けた私・・・・・・。
畳に崩れ落ちても時間しかたたないし体力回復できないし、早くお風呂に入って寝よう・・・・・・。
そう安易に考えたのがいけなかったのか。
「え? え!? やだなんで灯り消えたの……っ!?」
慌てて湯船から立ち上がって周りを見るけれど暗くて何が何だかわからない。
とりあえず転ばないように注意深く湯船から出て、震える手で扉を開こうとしたその瞬間。
『う〜ら〜め〜し〜や〜・・・・・・』
「きゃあああああ! でででででででで出たぁっ!」
「おい!?」
びちゃびちゃに濡れた手拭いを前にあてただけで体を拭く余裕なんてあるわけもなく何も身に着けないまま扉を開けて外に飛び出した私を誰かが慌てて腕の中に抱きこんだ。
「きゃああああ! ゆゆゆうゆうれい……っ」
「誰が幽霊だ誰が……っ! ていうかお前なんて恰好してやがる!?」
声を裏返して慌てた様子のその声にふと我に返って見上げると、土方さんが真っ赤な、怒った顔で私を見下ろしていた。
「・・・・・・ひじ、かた、さん・・・・・・?」
「ああ。俺だよ」
憮然とした声で答えながらも真っ赤な土方さんはふと視線を剣呑にさせて違う方へと向けた。
「・・・・・・おい総司。お前何してやがんだ?」
「・・・・・・あーあ、どうして土方さんがそこにいるんですか? 僕が名無しさんちゃんを止めるはずだったのに」
「お、きたさ・・・・・・」
・・・・・・どんどん悪戯が悪質になっていってる・・・・・・。
――――そんなに、私のことが嫌いなのかな・・・・・・?
暗い気分になりながらも自分の何も身に着けていない恰好を思い出して羞恥で隠れたくなった。
「名無しさん、戸口に俺が後ろ向いて立ってるからその間に着替えろ」
「は、はい…」
言われるがままにそっと土方さんから手を離し風呂場に身を戻す。そして慌てて乾いた布で体を拭き始めた。
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