乙女ゲーム夢4
□苛めっ子と苛められっ子の結末は
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「原田さぁああん……っ」
よいしょ、と私をまともな位置に戻してくれた原田さんに思わず泣きつくと原田さんはよしよしと私の頭を撫でてくれた。
「お前虫苦手なんだなぁ?」
「ううううう、この世で何が一番嫌いかって聞かれたら虫って答えるくらい嫌いですー……っ」
泣き泣き沖田さんから距離を取って原田さんのだんだら羽織に縋りつく。
原田さんも心得たように私を背に庇って呆れた声を出した。
「お前な、総司。女子供泣かせて喜ぶとか子供かよ・・・・・・」
「左之さん、邪魔しないでよ。僕今名無しさんちゃんと遊んでるところなんだからさ」
ひょいと肩を竦めた沖田さんに大声で抗議したくなった。
――――遊ばれてるだけですから……っ!
でもそんなことを言っても何百倍にもなって帰ってきそうだったから何も言わなかったけど。
「あーあ、つまんないの。名無しさんちゃん、じゃあまた今度遊ぼうね?」
本気でつまらなさそうな顔をしたあと、ふっと笑みを見せた沖田さんに戦慄した。
―――――けっこうです……っ!
でもそんな抗議をする度胸もなくて泣く泣く沖田さんを見送っていたら、原田さんがなだめるように頭を
もう一度撫でてくれた。
「お前たち、どうかしたのか?」
「ひ、土方さ―ん……っ」
「なんだ、泣きべそかいて」
「総司の奴だよ。こいついじめてやがった」
ぐしぐしと涙のにじむ目元をぬぐっていたら、私と原田さんのいるところで立ち止まった土方さんがよしよしと私の頭を撫でてくれた。
「またか。お前も大変だな」
呆れた顔をして共感したように顔をしかめてくれる土方さんに向かって必死で首を縦に振る。
分かってくれる人がいるのが、せめてもの救いだ。
「反応見るのが楽しいんだろう。面白いと思われたらからかわれるままだぞ?」
「そんなこと言ったって〜……っ」
虫投げられたらどうしようもないですって!
頭を撫でる感触を享受しながらそう思っていたら土方さんと原田さんが顔を見合わせて苦笑した。
「あいつも加減しないと、お前に本気で嫌われるよなぁ?」
「ええ? 嫌ってるのは沖田さんでしょう!?」
「あー、ほらな」
「身から出た錆ってやつだな。まぁ、気長に付き合ってやってくれ」
「えー・・・・・・?」
そんな風に言われてもなぁ、と思いながら私は自分に悪戯をけしかけてきてひじょーに楽しそうに笑う沖田さんの顔を思い浮かべた。
・・・・・・完全に嫌われてるとも思わないけど、でも確実におもちゃにされてるよねぇ?
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