乙女ゲーム夢4

□想い瞬く
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目を覚ますと優しい笑顔の女性に「起きたのね、頭は痛くない?」とほんわり聞かれた。



「だ、いじょうぶ、です・・・・・・?」



何が起こったのかいまいち分からず、そう答えるとその女性は「よかったわ」と言って穏やかに微笑んだ。

なんとなく見覚えがあるけれど初対面の女性。



・・・・・・誰、だろう。



しかも今時着物着てるし。




「私は文子というの。こっちは息子の進よ」



そう自分と隣の青年とを紹介されて、私はまどろみから一気に目が覚めた。






――――――ま、まさか……っ!






トリップしちゃった!?
















































名前しか覚えていないんです、と泣きそうな顔で言ったその少女に俺は弱り切ってしまった。

彼女の面倒を見ると言った母さんにも卒倒しそうになったけど。










「面倒見るって・・・・・・明らかに怪しいじゃないか! やめた方がいいよ、母さん!」



「でも進が拾ってきたのよ? それに拾ってすぐに捨てるなんて、ダメよ」



「ぐ・・・・・・そりゃそうだけど犬猫じゃあるまいし! まさか記憶がないなんて思わないじゃないか」


「そうねぇ。記憶がないってとても不安でしょうね」



「母さん!」


「ねぇ、進。記憶がなくて放り出されてしまったら、不安で不安で仕方がなくなるのじゃないかしら?」



「う・・・・・・まぁ、それは確かに…」



「でしょう? もし私だったらきっと不安よ。だから、あの子にはここで一緒に住んでもらうわ」



「〜〜〜〜〜……っ」



にこ、と目じりにしわを刻んで笑った母さんになんとも言い返せなくて結局俺は机に頭を伏せた。




「・・・・・・わかった。わかったよ。俺がこまめに見に来るから。もし何かあったらすぐに知らせてくれよ? いいね?」



半ば諦めと共に言った俺の言葉に、母さんはさらに目じりを和ませて、俺の頭をぽんぽんとなだめるように叩いた。



「きっと大丈夫よ。目が、とても綺麗なの。汚いことも知らない、純粋な目をしてたわ。だからきっと大丈夫」




やけに自信満々なその笑顔に、やっぱり俺は何も言い返すことが出来なかった。

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